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雛見沢訪問記

今週は先週に引き続き、「ひぐらしのなく頃に」の関連記事である。

こちらは、ゲームなどの舞台となった『雛見沢』のモデル(背景)として使われた、とある有名な山村を訪問した記事の再掲載である。

いわゆる「聖地巡礼」というものだ。
え、痛いヤツですって?
たしかにそうだが、この記事、観光案内としても少しは役にたつので、ご用とお急ぎでなければ、お付き合いくださると嬉しい。

なお、この記事にはゲームのネタバレや、ホラー的な要素はいっさい書かれていないので、その点もご安心いただきたい。


『雛見沢訪問記』

 先の記事で紹介した、ビジュアルノベルゲーム「ひぐらしのく頃に」の舞台となった『雛見沢』を訪れる機会ができた。

  P1000098s.jpg 城山展望台付近より = タイトルバック

『雛見沢』はもちろん架空の山村なのだが、そのモデルとなった実在の村落がある。
 岐阜県大野郡白川村、世界文化遺産登録の合掌造り集落、白川郷と言ったほうがわかりやすいだろう。
 白川郷には、ゲームをプレイする前に一度、観光で来たことがある。郷愁をかき立てられるような風景が広がる村落で、ゆっくりとその雰囲気に浸りたいところではあるが、諸般の事情によって滞在時間が小1時間ほどしかない。今回は、ゲームに登場した有名ポイント(聖地)だけをかいつまんで、駆け足で回ることにした。

 白川郷は、繁忙期には観光客の行列ができるほどの人気観光地だから、6月中旬の平日だというのに観光客の姿は多かった。そんな普通の人々に紛れて、聖地を訪ねる巡礼者たちが、今もなお相当数存在する。
 有名どころの城山展望台や和田家も、巡礼者には登場人物である『古手梨花』のハイキング先であり、『園崎姉妹』の実家なのである。

  P1000095s.jpg 城山展望台付近 = 梨花のハイキング先
 
  P1000124s.jpg 重要文化財和田家 = 園崎本家

  P1000125s.jpg 重要文化財和田家 = 園崎本家座敷

  P1000127s.jpg 重要文化財和田家 = 園崎本家地下通路

  P1000129s.jpg 重要文化財和田家 = 園崎本家からの眺望

 そして、普通の観光客は見向きもしないありふれた坂道や、倉庫や、人家も、『嘘だ!』の坂道であり、通学路であり、『古手梨花』の家であり、『北条沙都子』の実家であり、『竜宮レナ』の家であり、大臣の息子の監禁場所であり、『入江診療所』であり、『前原圭一』の家などの重要な場所なのだ。

  P1000111s.jpg 城山展望台の麓 = 「嘘だ!」の坂道

  P1000101s.jpg 城山展望台への道 = 通学路

  P1000103s.jpg 城山展望台の麓 = 古手梨花と北条沙都子の家

  P1000107s.jpg 城山展望台の麓 = 北条沙都子の実家

  P1000110s.jpg 城山展望台の麓 = 竜宮レナの家

  P1000105s.jpg 城山展望台の麓 = 大臣の息子の監禁場所跡

  P1000121s.jpg 白川診療所 = 入江診療所

  P1000146s.jpg 白川クリーンセンター = 前原圭一の家
 
 聖地めぐりをする巡礼者のような人種は、世間ではオタクなどと揶揄されたり、白眼視されたりすることが多いが、出会った人々は例外なく常識的な言動をしている普通の観光客だった。とはいえ、同じ志を持つ巡礼者同士だから、見ず知らずの人でも挨拶したり会話を交わしたりと、そちらの楽しみもあった。
 さて、聖地は密やかな場所が多いのだが、その中でも例外的に異彩を放っているのが白川八幡神社だ。
 
  P1000136s.jpg 白川八幡神社 = 古手神社

  P1000139s.jpg 白川八幡神社 = 古手神社拝殿
 
 ご覧のとおりごく普通の神社にしか見えないが、ゲームでは『古手神社』という最重要な場所である。
 この場所に深く関わる『古手梨花』の人気も手伝って、拝殿脇に掛けられている絵馬のほとんどすべてがゲームに関連するものという有様だった。さしずめ、聖地のなかの聖地、「ひぐらしのなく頃に」のメッカといったところか。

  P1000141s.jpg 白川八幡神社の絵馬

 「ひぐらしのなく頃に」は、舞台となる『雛見沢村』の社会的状況や因習や自然といったものが、作品世界そのものを構成しているという稀有な作品である。
 今回は、作品に描かれた『綿流し祭り』とほぼ同じ時期にその舞台を訪れたことで、作品世界をまさしく実感することができたし、奥の深さも理解できた。できることなら時間を作って、もういちどプレイしてみたいものである。

ひぐらしのなく頃に

 ブログのお友達の八少女夕さんがご自身のブログで、PCゲーム・TVアニメ「ひぐらしのなく頃に」の主題歌&BGMを弦楽四重奏とピアノで演奏した作品「ひぐらしのなく頃に 奏」を紹介されていた。

 八少女夕さんの記事は、こちら→ 「ひぐらしのなく頃に 奏」

 早速試聴してみたら、クラシック風にアレンジされてはいたが、一気にあのゲームやアニメの世界に引き戻された。
 そこで今回は、以前に当ブログに掲載した「ひぐらしのなく頃に」関連の記事を二つ、再掲載しようと思う。
 一つめは、そのものずばりのゲーム紹介記事である。


『ひぐらしのく頃に』

 山深い寒村である、雛見沢村。
 古い因習や閉鎖的な村社会が色濃く残るこの村に、ある事情で都会からひとりの少年が引っ越してきた。
 彼は、年齢の近い少女たち4人と仲良くなる。
 賑やかだが、穏やかに過ぎていく山村での暮らし。
 しかし、一件平和そうなこの村には、恐るべき事実が隠されていた。

 雛見沢村連続失踪怪死事件。
 それは、毎年の夏祭り「綿流し」の夜に起きる、一人が死に、一人が行方不明になるという事件だ。
 警察の必死の捜査にも関わらず、すべての事件は未解決のままで、いつの頃からか、人々は村の鎮守神「オヤシロサマ」の祟りだと信じるようになっていた。
 そして、今年もまた、その犠牲者が出る。
 その日を境にして、穏やかだった日常は、恐怖と狂気によって塗りつぶされていく。仲良しだった少女たちの仮面の下に潜んでいたモノがさらけ出され、惨劇の幕が上がる。
 狂っているのは、自分なのか、それとも世界なのか。

   110618-01.jpg

「ひぐらしのく頃に」は、同人サークルである07 th Expansionが2002年夏に発表したサウンドノベルだ。
 発表当時はそれほど話題にならなかったが、時を追うごとにネットなどで評判を呼び、アニメやコミックスや小説などのメディアミックスをはじめ、ついには実写映画が作られるまでにヒットした作品である。

 ゲームシステムは単純で、結末に影響を与えるような選択肢は一切なく、グラフィックとBGMを楽しみながらテキストを読んでいくだけだ。
 プレイヤーは、主観的な本文と客観的な資料(Tips)をもとにして、この作品に隠された真実を推理していくことになる。

 シナリオは秀逸で、無数の伏線や謎が散りばめられ、一読しただけでは謎解きどころか、どこに伏線や謎が存在するのかもわからないほどに難解だ。
 設定もよく練られていて、全編を読み終えたときには、最初に受けたイメージとは遥かにかけ離れたその全貌に圧倒された。
 ただし、気の弱い人やバイオレンスに抵抗のある人にはお勧めしない。同人作品だけあって、その表現は過激であり、コンシュマー作品のぬるい表現に慣れている人には、刺激が強すぎるからだ。軽い気持ちで始めると、読み終えたあとで心にトラウマを負うことになるかもしれないので、くれぐれも自己責任で。

 全部で11編あるシナリオは、最初の4編が出題編、次の4編が解答編、残りの3編は後日談である。

 出題編の冒頭は恋愛アドベンチャー的な演出がなされており、平和で穏やかな山村での日常が面白おかしく描かれる。
 それが一瞬にして、恐怖と狂気の世界に変わる演出はじつに見事だ。その恐怖感はすさまじく、夜に読んでいると家中の電灯を点けたくなるほどだった。
 そして、これでもかというほどに繰り広げられる惨劇の数々は、読んでいて胸が潰れるものばかりだ。

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「解」と名づけられた解答編では、出題編の4編と対をなす形で、謎への解答とともに作品の世界観や設定がオープンにされる。
 解答編の3編目まで読みきると、この作品をミステリーの謎解きとしてプレイしていた人は、ご都合主義だと感じさせられる作品の構造も含めた、シナリオライターの意図そのものを推理の対象とするべきであったと気付かされることになるだろう。
 かく言う私が推理した答案も、残念ながらその点まで考えが及ばず、正解までもう一歩というところだった。
 解答編の4編目では、それまでのカタルシスを一気に解消し、予定調和的なグランドフィナーレを迎える。

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「礼」と名づけられた後日談の3編はオマケの要素が強いが、ある意味、作品を完結させるには必要なシナリオである。

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 グラフィックは写真を加工した背景に、キャラのCGを合成する手法だ。
 いささか安っぽい印象がしたが、現実の風景を使ったことで妙なリアリティがあり、いわゆる「聖地巡礼」という楽しみ方もできるようになっている。
 キャラの造形は独特で、最初は受け入れ難い印象があるが、意外にもすぐに慣れる。

 音楽は、出題編はフリー素材を使用しているらしいが、シナリオによく合わせてあると感じる。
 人気が出た解答編からはオリジナルのBGMになり、なかには歌詞がつけられて歌曲となったものもある。
 いずれも、作品の雰囲気を盛り上げるのに貢献しているが、Key作品のように音楽だけで泣かせるほどのものではない。

 私のお気に入りのキャラは、園崎詩音(魅音)。
 双子姉妹の愛憎を軸に、ミステリーとホラーサスペンスの味付けで、救いのない悲劇を描いた「綿流し編」と「目明し編」は、シリーズの中でもシナリオの求心力と完成度の高さが光る、屈指の出来栄えだったと思う。
「ひぐらしのなく頃に」の深淵に嵌まりたくない人は、この2編だけを読んで、その恐怖と狂気の世界の一端にふれるだけでも十分に楽しめるだろう。

神戸・霜月オフ会 - ブログのお友達に会いました

ブログのお友達、八少女夕さんから「11月にオフ会をしませんか」とお誘いをいただいた。

八少女夕さんはスイスにお住まいなのだが、休暇を利用して日本に里帰りなさり、国内旅行の間に神戸にもおいでになるという。そこで、関西に住んでいる何人かのブロガーさんたちと、一席設けたいというお話だった。

日程の関係で平日の夜の開催となったが、大海彩洋さん、山西左記(先)さんもご参集いただけることになった。普段から交流させていただいている方たちばかりで、願ってもない機会になった。

八少女夕さんは、旅行もよくなさるブロガーさんで、世界各国に足跡を印されている。せっかく足を運んでもらうのだから、やはり神戸らしいお店でお迎えしたいと思い、神戸港の夜景を堪能できるイタリアンレストランを予約した。

待ちに待った当日だが、私は仕事の関係で、すこし遅れて合流することになった。
会場に着いた時には、開会からすでに小一時間がたっていた。ハーバーランドの夜景を見下ろすテーブルには、「日向牧場直送のチーズ盛り合わせ」と「明石産タコのマリネサラダ」が並び、お酒も入ってお話が盛り上がっているようだった。

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お三方ともに初対面なので年甲斐もなく少し緊張したが、お目にかかってみると皆さん気さくな方で、旧知のようにすぐに馴染むことができた。

差し障りがあってはいけないので詳細は省くが、八少女夕さんは明快でスタイリッシュな方、大海彩洋さんは柔らかさと芯の強さが同居なさった方、山西先さんは頼りがいのあるしっかりとした方という印象を受けた。

着席早々に、八少女夕さんからお土産をいただいた。
ポートワインの小瓶、可愛らしい石鹸とボディジェル、チョコレート、生ソーセージ(?)そしてカードである。石鹸とボディジェルは、ご自身の作品「Infante323」で主人公の青年「23」が使っていたもの、カードは拙作「フェアリーテイルズ・オブ・エーデルワイス」をイメージされたものという。
いずれもセンスが良く、心配りの行き届いた品ばかりだった。

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お腹が空いていたので、自己紹介もそこそこに「日向牧場のフレッシュモッツアレラのマルゲリータピザ」と「ピリ辛アラビアータソース リガトーニ」を追加オーダー。
下戸の私は、ノンアルコールカクテルのシャーリーテンプルにしたが、お三方は赤ワインのグラスを傾けている。

社会経験を重ねた方ばかりで会話は多岐にわたったが、それぞれの小説の話になるとがぜん熱気を帯びるのは、物書きの宿命かもしれない。
limeさんやけいさんが電話で飛び入り参加もしてくださり、会を盛り上げていただいた。お二方とも、ありがとうございました。

大海彩洋さんは、オーストラリアから帰国なさっているブロガーの けい さんからのお土産のチョコレートを、お持ちくださっていた。
店が空いていて、ホールスタッフもあまり干渉してこないのをいいことに、チョコレートを開封。
モザイク状に割れるチョコの中にグミやM&Mみたいなチョコがアレンジされた、ポップなものだった。

とても楽しい時間だったので、ほんとうにあっというまに過ぎてしまい、ラストオーダーの時刻になった。
メインディッシュがなかったので「神戸ビーフの赤ワイン煮込みと半熟卵のココット」をオーダーし、ドルチェは「ティラミス」にした。ココットより先に、ティラミスがサーブされたのはご愛嬌。

話し続けるうちに閉店時刻になったので、夜景をバックに記念撮影をしてお店を出た。
まだまだお聞きしたいことや、語り足りないことも多かったので、ぜひまたこういう機会をつくりましょう、と名残を惜しみつつおひらきとなった。

ネット上での交流も良いが、同じ趣味を持つお友達と顔を合わせてお話するというのは、やはり格別である。
今回、このような機会をつくっていただいた、八少女夕さん、大海彩洋さん、山西先さんに感謝したい。
ほんとうにありがとうございました。お約束のとおり、またやりましょう。

小説『夜空ノムコウ』 WEB月間誌「Stella」5周年記念作品

スカイさんが主催されているWEB月間誌「Stella」が、この秋で創刊5周年を迎えられた。
こういう企画を長期にわたって運営していくのは、かなりたいへんなことだと思う。ここまで続けてこられた努力に、頭が下がる思いだ。

私も「Stella」に参加させていただいていて、「あの日、星空の下で」という作品を完結させ、今は「花心一会」という作品を掲載してもらっている。

今回は5周年のお祝い企画で、『夜空』というお題が出された。Stellaは「星」という意味の言葉だし、ぴったりなお題だと思う。
お世話になってきたお礼に、特別な作品を書こうと思った。お題の『夜空』を見たときに思いついたのは、やはり原点に返って「あの日、星空の下で」に関わるお話しようということだった。

本編はすでに完結しているので、番外編というかオムニバスとして書いている「この星空の向こうに」の一作とした。

題して、「この星空の向こうに」Sign04.ボオーテス・ランナウェイスター in 『夜空ノムコウ』

いうまでもなく、SMAPの有名なあの歌へのオマージュである。

サブタイトルの「ボオーテス」は、春の夜空に大きく広がる、うしかい座のこと。
主星のアークトゥルスは、オレンジ色に輝く赤色巨星である。
北斗七星の柄のカーブを延ばしていくと、大きな曲線を描いてアークトゥルスからおとめ座のスピカへ繋がる。これを「春の大曲線」という。
アークトゥルスとスピカは夫婦星とも呼ばれていて、アークトゥルスが夫で、スピカが妻だそうだ。また、アークトゥルスとスピカと、しし座のデネボラを結ぶと、「春の大三角」ができる。夫婦星に三角関係とは、なんとも意味深なことである。
アークトゥルスは、高速で固有運動する星としても知られていて、「ランナウェイ・スター」とも呼ばれている。ハレー彗星の発見者でもあるエドモンド・ハレーの観測でそれが発見され、このままなら約5万年後には、アークトゥルスとスピカは並ぶようにして輝くといわれている。

そして、今回のメインキャストは、本編で賛否両論だったあの人である。あの人がなぜあんなふうになったのかを中心に書いてみた。
そして、あの人に関係する、あんな人やこんな人も出てくる。
単体でもお読みいただけるが、本編を読んでいただいた方には、ニヤリとしていただけるのではないかと期待している。
そして、「あの日、星空の下で」で起きたことのベースというか背景となった、たいへん重要なエピソードでもある。

予定よりかなり字数が嵩んでしまったが、よろしければお楽しみいただきたい。

 『この星空の向こうに -Star Observation Society 2nd Season-』

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高校生の僕には、同じ学校に通う恋人の少女と親友の少年がいた。幼いころから仲が良かった三人は、揃って天文研究部に入部した。
夜空に広がる星座のように、いつまでも変わらないと信じていた、僕たちの関係。けれど、破綻の予兆はある日唐突に、意外な形で現れた。
その出来事は、「僕」の人生にどのような影響を与えるのか。
それでは、今夜の星空をお楽しみください。

 Sign04.ボオーテス・ランナウェイスター in 『夜空ノムコウ』

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      月刊・Stella(ステルラ)10-11月合併号参加 小説・短編  stella white12

君の名は。

新海誠監督の長編アニメーション、『君の名は。』を観てきた。

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素直に、いい映画だと思った。
映像のクオリティは圧倒的で、隅々にまで神経が行き届き、107分の上映時間のどの部分を切り取っても美しいシーンばかりだ。

そして、主人公・立花瀧の爽やかさ、ヒロイン・宮水三葉のかわいらしさたるや、もう見ていてため息が出るほどだった。
ちなみに、私がいちばん気に入ったシーンは、巫女の三葉が神楽を奉納するシーンだ。あれはじつにすばらしい、というか、わかってますねぇという感じだった。

そして、肝心のストーリーも、設定に雑な部分はあるものの、全体としてわかりやすく感動させるつくりになっている。
前半のほのぼのとした日常パートが、ある事実が判明したことを境にして、一転してシリアスでドラマティックな急展開を見せていく。それでいて、ラストは予定調和的に収束するので、安心して物語にひたっていられる。

 

アニメーション映画にあまり興味がない人でも、ああ面白かったなぁと思える作品に仕上がっていて、多くの観客に受け入れられる映画であることに間違いはない。
そんなわけで、『君の名は。』は公開後すでに一ヶ月半のロングラン上映になっているが、七週連続動員トップで総興行収入は145億円にのぼり、スタジオジブリの『風立ちぬ』を抜いて日本アニメ映画歴代5位にランクされる大ヒットになった。


だが。
だがしかし、なのである。
私はエンドロールを見ながら、こう思ってしまった。
――でもこれは、新海誠の映画じゃないな。

私は、新海誠のデビュー作『ほしのこえ』からずっと彼の映画を観つづけてきた、筋金入りのファンのつもりだ。
新海誠の持ち味は、ディテールにこだわりまくった圧倒的に繊細な映像美であり、せつなくてはかなくてけれど美しい物語だ。
その真骨頂はなんといっても、『秒速5センチメートル』だろう。

 

わかりやすい映画ではないし、観たあとに幸せな気持ちになるわけでもない。どちらかというと、もやもや感が後を引く類の作品だ。
『君の名は。』はラノベ(ライトノベル)的なわかりやすさを前面に打ち出した映画だが、『秒速5センチメートル』は、良きにつけ悪しきにつけ文学作品のようなとっつきにくさがある。
しかし、これこそが新海誠の映画だと、思ってしまうのである。
無論、これは私の極めて個人的かつ主観的な、どちらかというと偏見に基づいた感想である。それは、わかっている。

『君の名は。』の大ヒットで、新海誠は押しも押されもせぬメジャー監督になった。彼の過去の作品があらためて脚光を浴びて、評価されることもあるだろう。それはそれで、ファンとしては嬉しいことである。
ただ、これからの新海誠が、商業的な成功など度外視して、ほんとうに作りたい映画を作れるか。彼の次作こそが、ポスト宮崎駿の日本アニメ界を占う試金石になるような気がしてならない。

ようこそ

オーナー

TOM-F

Author:TOM-F
 
 ようこそ、Court Cafe へ。

 自作小説をメインに、アニメや旅行記など趣味のお話を綴っています。
 楽しいひとときを、おすごしください。

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