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3 Days in SHANGHAI

 上海に旅行をしてきた。
 2泊3日、初日は午前便で出発し万博見学、2日目は水郷蘇州日帰りのあと豫園商城と外灘の散策、3日目は東方明珠塔を見たあと午後便で帰国という、内容ぎっしりの強行ツアーだった。
 中国というか、上海への入境(入国審査)は、拍子抜けするほど簡単だった。母と、妹の家族を含むファミリー旅行者ということもあってか、優先的に通してくれたうえに、書類のチェックも形式的なもので、質問もなしだった。
 上海浦東国際空港から、旅行社の専用車で、市内に向かう。小一時間で到着した上海の第1印象は、活気だった。香港にも得体の知れない活気が満ちているが、上海のものもそれに似ている。なりふり構わぬ勢いのようなものが、街全体を覆っているように感じた。
 夕方から、万博に行ってみた。
 過去最大級の規模を誇る上海万博、広大な会場に数多くのパビリオンがあり、全部回るなど不可能なので、中国館、日本館、スイス館に狙いを定めていた。しかし、事前の調査不足で、中国館は門前払い、日本館も4時間待ちに耐えられず、スイス館ですら2時間待ちという有様で、結局、ひとつも見ることはできなかった。比較的空いていたセビリア館、ベトナム館、北朝鮮館を覗き、ドイツ館付属のレストランで77元(約1000円)もするケーキセットを食べたのが収穫という、さんざんな有様だった。
 万博会場からホテルへの帰路には、タクシーを利用した。万博の開催に合わせて、「万博タクシー」という優良ドライバーの専用車が走っていたりするが、乗り込んだのは一般の車。ごく普通のドライバーだと思うのだが、その運転は荒い。いや、そもそもクルマもバイクも電動自転車も人も、おしなべて交通マナーは極悪である。割り込み、急ハンドル、スピード違反、信号無視などなど、なんでもありの無法状態。肝を冷やすこと数度、たいへんスリリングなドライブだった。
 ホテルは外灘のはずれにある「ハイアット・オン・ザ・バンド」だ。比較的新しく、高級なホテルで、9階の部屋からの眺めは抜群だった。とくに夜は、ライトアップされた外灘の古建築群や浦東の摩天楼群が一望できた。眼下の黄浦江には、イルミネーションで満艦飾の観光船がひっきりなしに行き交い、実に華やかな夜景だった。サービスも良く、「アロマ」の朝食ビュッフェも美味しかったが、日本語の分かるスタッフがいなかったことが若干不便だった。
 2日目は、同行者の希望を入れて、水郷蘇州の日帰りツアーに参加した。蘇州の「蘇」という文字には、「自然に恵まれた魚(水産物)も米(農産物)もよく採れる」という意味があり、中国には「生まれるなら蘇州」という言葉もあるほど豊かな地なのだそうだ。現在は、蘇州に数ある庭園が世界文化遺産にも登録されている観光地でもある。ツアーは、蘇州4大庭園のひとつ「留園」の観光から始まり、日本にも馴染みの深い寒山寺、古い町並みの山東街散策、運河めぐり遊覧船、虎丘の斜塔見物、最後に刺繍研究所の見学というコースだった。
 世界遺産にも登録されている庭園に関しては、正直あまり感心しなかったが、これは日本との美的感覚の違いでありやむをえないところだ。寒山寺も、日本の政治家や企業が堂宇を寄進したということで、日本との繋がりが深いという説明だったが、こちらも無学な私にはあまり興味は湧かなかった。唯一楽しかったのは、運河沿いにある山東街の散策だった。飾り気のない庶民の暮らしぶりが垣間見える町並みで、私が「中国らしい」と感じる雰囲気が一番味わえた。しかし、生活用水にもなっているという運河は、夏の盛りということもあってか悪臭を放っており、衛生面では近寄りたくも無い場所だった。かのマルコポーロが「東洋のベニス」と称したとのことだが、当時のベネツィアはこんな感じだったのだろうかと首を捻る。
 あまり美味しくない昼食も含めて、中国の典型的は日帰り観光というべきツアーだった。
 上海に帰ってから、豫園商城を訪ねた。これは、私の希望だ。
 豫園の入り口に聳え立つ「上海老飯店」で美味しい夕食を済ませてから、豫園商城に踏み込む。いかにも中華風という感じの建物がひしめき、きらきらしたイルミネーションとネオンサインに彩られた街路には、土産物や服飾雑貨や小吃(中華惣菜の小皿)を商う店が並び、雑踏が熱気を放つ。これもまた、中国らしさを感じられる場所だ。
何を買うでもなくぶらついたあと、勢いで外灘を経由してホテルまで歩いた。黄浦江を渡る涼風に吹かれながら、立ち並ぶ石造の古い建物と、対岸の摩天楼群を眺める楽しい散歩だった。もっとも、平日の夜だというのに人出が多く、掻き分けるように進まねばならないのには閉口したが。
 最終日は、遊園地のアトラクションのような外灘観光随道のカプセルで対岸の浦東に渡り、上海のシンボルでもある東方明珠塔に登った。地上260mにある中球と呼ばれる展望台は、確かに眺めがいい。ホテルからもいい眺めだったので、ここにはこなくていいかと思っていたが、それは間違いだった。なんたって、足元まで強化プラスチックの透明な床になっており、文字通り360度の展望なのだ。なかなか愉快なところだが、ひとつ気に入らないことがある。それは、過剰ともいえる警備体制だ。
 中国はいろいろな問題を抱えている国だし、万博開催中ともなれば、地下鉄駅ですらボディチェックをするほどの警戒態勢もやむをえないかも知れない。しかし、テレビの電波塔であるとはいえ観光地である東方明珠塔に、ペットボトルの飲み物を持ち込み禁止にするのは、正直、やりすぎだと思う。目の前で飲んでいるのだから、それが危険な薬物などでないことは警備員にも明白なはずなのに、有無を言わせずにゴミ箱に捨てさせるのだ。売店で飲食物を買わせるためではなかろうかと、邪推すらしたくなるような対応だった。
 上海浦東国際空港への移動には、上海名物のリニアモーターカーを選んだ。町外れにある駅から乗り込んだリニアモーターカーは、時速300キロで突っ走り、約7分で空港に着いた。だだっぴろいところを走るので、あまり速いとは思わなかったし、時速300キロなら日本の新幹線でも出せる。どうせなら、出し惜しみせずに400キロくらいで飛ばして仰天させてくれればいいのに、ケチなことだ。
 さて、今回の上海旅行。3日間を終えての感想だが、やはり活気だった。いや、勢いというべきだろうか。
 国家プロジェクトの万博開催や超高層ビルの建設ラッシュに象徴される、成長過程にある都市と住民に共通する「上を目指す」という勢いを感じた。しかし、課題も多そうだ。摩天楼群のすぐ裏側に広がる廃墟やスラムもどきの家並み、安心して歩けない治安の悪さ(スリも多い)、靄がかかったようにすら見える大気汚染などを、どう解決していくのか。また、そのままでは飲めない水道水や、トイレットペーパーがトイレに流せないため、お尻を拭いた紙をゴミ箱に捨てるしかないトイレなど、衛生面のインフラ整備の遅れも深刻だ。
 とまれ、中国のみならずアジアでも最大級の都市である上海、その熱気は気候のせいだけではないことが感じられた旅だった。
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