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planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜

「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」は、Keyから2004年11月に発売されたWindows版ビジュアルノベルである。

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 Keyでは、このジャンルの作品をキネティックノベルと呼んでいて、「planetarian」はその第一弾である。Yahoo!BBユーザー限定のダウンロード版のみの先行発売があり、その後、2004年12月には一般用ダウンロード版が、2006年4月にはパッケージ版が発売された。その後、PS2、PSP、携帯電話、iPhone/iPad版も発売された。

 戦争によって人類が滅亡の危機に瀕している近未来、廃墟と化した都市にある誰からも忘れ去られたプラネタリウムを舞台に、「屑屋」ことトレジャーハンターの男と、プラネタリウムの解説員を勤めていた少女型ロボット「ほしのゆめみ」との交流を描く短編小説のような作品。
 ゲームシステムは、シンプルで判りやすいもの。基本的に、テキストを読み進めるだけなので、「しおりを挟む」という位置づけのセーブとロードの機能が中心だ。予備知識がなくても、操作に迷うことはないだろう。
 グラフィックは、背景とキャラクターの立絵の組み合わせが基本で、キャラクターの造形を含めて、Keyらしい安定感のあるもの。ときおり挿入されるフルサイズのCGが美しい。
 音楽は、宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」をアレンジした楽曲を中心にしているが、オリジナル楽曲もある。音楽の使い方は、手馴れたもので、物語を感動的に彩っている。
 シナリオは、近未来、人類滅亡、ロボットなどSF系ではあるが、どちらかというとそれらの要素をうまく使った、ノスタルジックでハートウォームな展開のKeyお馴染みの「泣き」系だ。ヒロインがロボットという設定を、じつに上手く活かしている。前半は、ロボットらしい融通の利かなさや忠実さがコミカルに描かれているが、正直、ちょっと鬱陶しいなと思うところもある。それが中盤になる頃には、健気な姿に好感を抱き始め、いつのまにか彼女を可愛いと思うようになる。そして、終盤には、彼女がロボットであるがゆえに免れえない悲劇に涙している。主人公の「屑屋」と自分が、いつのまにかシンクロしていることに気づき、そのシナリオメイクの巧みさに感心した。

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 総合評価だが、ビジュアルノベルとして、とても完成度の高い作品だといえる。
 あまり小難しいことを考えずに、この作品に浸っていれば、笑ったり恋しくなったり切なくなったりと、気持ちよく感動することができるだろう。私自身も、ゆめみがプラネタリウムの解説をする場面などは、年甲斐もなく泣きそうになってしまった。
 実を言うと、甘美なストーリーの中に、ちょっぴりSF的な「苦味」も入っている。予備知識として、アイザック・アシモフが提案した「ロボット三原則」を理解していれば、より深い感動を味わえるだろう。
 この作品、小説版も出版されている。この小説版、じつは、この作品の前後の世界を描いたもので、相互補完の関係にある。この作品を見てから小説を読んでも、逆に小説を読んでからこの作品を見ても、あらたな感動を得られるようになっているので、小説版もおすすめしておく。
 お気に入りのキャラは、ほしのゆめみ。というか、他に選択肢はない。

 以上でこの作品のレビューは終わりだが、どうしても書いておきたいことがある。
 この作品の舞台となった、プラネタリウムについてである。
 TOM-Fは学生時代に天文部に所属していたことがあり、プラネタリウムにもよく行った。そこで美しい星空を見せてくれたのが、この作品にも登場している、カールツァイス・イエナ社製ユニヴァーサル・プラネタリウム・プロジェクターUPP23/3型機であった。1960年6月に設置されたこの機械は、大災害をくぐりぬけて2011年現在でもまだ稼動しており、現役のものとしては日本国内で最古、世界でも5番目に古いものである。

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 見る人が見れば、どこのプラネタリウムかはすぐに判るだろう。
 TOM-Fはここのプラネタリウムが大好きで、ツァイス光学系が映し出す少し褐色がかった星空と、解説員がライブで行う投影プログラムは、人の温かみにあふれる優しいものだ。今風にいえば、「癒される」という感じか。
 そのプラネタリウムで、このUPP23/3と、大平貴之氏のスーパープラネタリウムプロジェクター「MEGASTAR-II Minerva」が同時に投影されたことがあった。
 MEGASTAR-IIが映し出す星空は、宇宙の深遠さを実感できるほど凄味のあるもので、背筋がぞくぞくしたものだ。そして、UPP23/3の優しい星空との競演は感動的ですらあり、プラネタリウムの理想的な組み合わせとして、恒久的に実現させてほしいと思うのだ。

 さて、この更新で今年は最後になる。
 つたない記事にお付合い頂いたことに感謝しつつ、お読み頂いた皆様に年末のご挨拶を差し上げたい。
 よいお年を、そして来年もよろしくお願いします。
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