RSS

SPACE BATTLESHIP ヤマト

 今回もまたまた、ヤマトである。
 劇場版VFX映画「SPACE BATTLSHIP ヤマト」について、書こうと思う。

 この映画、最初に企画があると聞いたときには、悪い冗談だろうと思った。アニメならともかく、邦画のVFXでヤマトをやろうなんて、どう考えてもまともな映画になるとは思えなかった。
 ストーリーはアニメのTVシリーズ及び劇場晩第1作がベースで、キャッチフレーズは「必ず、生きて還る」。あれ、これは意外といいかもと思う。
 キャストは、古代進に木村拓也、森雪に黒木メイサ、沖田十三に山崎努、島大輔に緒方直人、徳川機関長に西田敏行、真田士郎に柳葉敏郎となかなか豪華だ。佐渡酒造に高島礼子はイメージ違いすぎて笑ったが、意外性という点で宣伝にはなるだろう。いずれにしても、かなり本気の作品と見た。もっとも、役者の人気で客を呼ぼうという下心も見えるのだが……。
 というわけで、期待と不安が入り混じる思いで、この映画を観たのである。

  space_battleship_yamato.jpg

 結論から言うと、VFXは合格点、キャストも悪くない、けどストーリーがちょっと残念というものだった。
 ストーリーは、アニメ版の「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト」を合わせたようなもので、前半の部分はそこそこ良かった。たとえば、乗機が被弾して帰艦不能になった森雪を、危険を冒してでも救出する古代進と、それを判っていても罰さざるをえない沖田十三艦長との確執などは、その後の展開に期待が持てた。
 これが、そのまま全編を貫いていれば拍手ものだったのだが、そうはいかなかった。古代が艦長代理に就任し、敵の自爆攻撃からヤマトを守るために第三艦橋を乗組員ごと切り捨てた辺りから、特攻玉砕を美化するストーリーに変わってしまったのだ。主要な人物を次々に死なせることで観客の感動を得ようという発想は、先に紹介した「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」にも通じるところがあり、あまり感心しない。
 テーマとストーリーの乖離は、ガミラス本星上陸作戦を経て地球上空決戦で完全な破綻を見せる。ガミラス本星では、主要なメンバーのほとんどが戦死し、残った乗員も地球上空でのガミラス巨大艦との戦闘で死亡。その果てに、地球を守り、ヤマトの残存乗組員十数人を助けるために、古代進がヤマトとともにガミラス巨大艦に特攻するという結末を迎える。結局、主人公たちの犠牲によって人類の未来が守られましたという、物悲しいだけの小さな結末に収束して物語は終わる。そこが、いちばん残念だった。
 第一作目の「宇宙戦艦ヤマト」が感動的だったのは、ガミラスによって滅亡の縁まで追い詰められた人類が、イスカンダルまでの航海というとてつもない試練を乗り越えて、奇跡と希望を掴み取り無事に帰還するという力強いストーリーがあったからだ。これは、十分に今日的なテーマを含んでいると思う。本作でも、そのテーマを貫き通してこそ、ほんとうの感動があったのではないかと思う。
 本作の後半のモチーフとなったアニメの劇場版第二作である「さらば宇宙戦艦ヤマト」は、特攻と玉砕を美化したストーリーでありながら実に感動的だった。それは、第一作で活躍した登場人物たちが、反逆者の汚名を受けながらも、人類を救うために戦い、命を散らせていく姿を、観客の情感に訴えかける巧みな手法で描ききったからである。「さらば宇宙戦艦ヤマト」は、美しい悲劇として完結させることで、ヤマトと登場人物たちを永遠の美の中に封じ込めるというエンディングを前提にした映画であり、この作品に「希望」や「未来」というテーマはないのである。
 本来、まったく相容れないテーマの二作品を無理やり一つにまとめようとしたところに、本作のストーリーが破綻した原因があることは明白である。VFX映画として、他の部分の出来が予想以上に良かったため、ストーリーの失敗は本当に残念だった。
 とはいえ、この作品、興行としては成功だった。2010年度邦画第四位、洋画を含めても第八位に入る興行成績を残したのだ。話題性と豪華なキャスト、キムタクと黒木メイサという美男美女のロマンスを絡めた、ある意味で予定調和的なわかりやすい作りが功を奏したとことは否定できないだろう。

 さて、記事は最初の話題であった「宇宙戦艦ヤマト2199」に戻る。
 今まで書いたことの繰り返しになるが、第一作をベースにするのであれば、そのテーマとストーリーを大切にして、安易な感動を狙わずに描ききって欲しい。そうすれば、重厚で普遍的なテーマを持った作品となりうるだろう。それを期待したいものである。
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

ようこそ

オーナー

TOM-F

Author:TOM-F
 
 ようこそ、Court Cafe へ。

 自作小説をメインに、アニメや旅行記など趣味のお話を綴っています。
 楽しいひとときを、おすごしください。

作品

FEOバナー

花心一会バナー

あの星バナー

妹背の桜バナー

記事

コメント

ブロとも

ブロとも申請

リンク

外部リンク