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北杜夫 - わが青春を彩った作家たち

 北杜夫が亡くなった。84歳であった。
 なにやら、訃報ブログみたいになってしまうが、私にとってとても大事な作家の一人なので、すこし追悼記事を書きたいと思う。

 北杜夫の来歴などについては、詳細な記事があろうから、そちらを参照されたい。ただ、氏の作品のレパートリーの多さについては、とくに触れておきたいところだ。氏の代表作である『どくとるマンボウ航海記』と『楡家の人びと』は、とても同じ人間が書いた作品とは思えないほどにかけ離れた内容である。両方を読んだ人ならわかると思うが、その差はテーマが違うなどという生易しいものではない。これに限らず、北杜氏の作品は、SF(初期作品)、児童文学、ファンタジーなどに分類されるものもあり、じつに多彩なのである。

 さて、本題だが、私が北杜夫の作品と出合ったのは、高校時代に遡る。国語の教科書に収録されていた『硫黄泉』という初期の作品を読んで、その文章にいたく感動したことを今でもよく覚えている。この作品に続く『幽霊』や『木霊』を読み、その静謐で透明な文章表現や、自己の内面世界に深く分け入っていくようなテーマに、すっかり虜にされてしまったのである。これらの作品は、私の文章表現の原風景のひとつであり、今でも、ああいう文章が書けないものかと模索している。
 北杜夫の初期作品には、いわゆるSF的なものもいくつかある。昭和でいえば31年頃、まだ星新一や小松左京も文壇に認知されていない時期に、宇宙ステーションや放射能汚染を扱った『人工の星』という作品を発表している。じつに、今日的な要素の詰まった作品であり、一読の価値はあると思う。

 私は、北杜夫の初期作品ばかりを愛読してきた。しかし、先に触れたように、北杜夫は後年にもすぐれた作品を数多く書き、幾多の賞に輝いている。この偉大なる作家の冥福を、心よりお祈りしたい。
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