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北陸・飛騨 whirlwind tour (前半)

 
夏休みにどこに行こうか、と話を振ったら、「涼しい温泉」「世界遺産」「美味しいものが食べたい」「兼六園」という答えが返ってきた。
なんかひとつだけ、妙に具体的な目的地が指定されている。「兼六園」は、石川県金沢市にある庭園で、日本三名園にも数えられる観光名所だ。必然的に、そこを中心に考えることになった。

行先が金沢ならば、「美味しいものが食べたい」のクリアは容易い。問題は「世界遺産」と「涼しい温泉」だ。
「世界遺産」には心当たりがある。白川郷と五箇山の合掌集落だ。いずれも、金沢から高速道路を使えば一時間くらいで行ける。
最後の問題は、「涼しい温泉」だ。夏の北陸は意外に暑いので、加賀温泉郷は除外だろう。白川郷まで足を延ばすのなら、もうひと頑張りすれば、奥飛騨温泉まで行けないこともない。
そして奥飛騨温泉まで行くのなら、新穂高ロープウェイと上高地は外せない。

あれこれ考えているうちに、休暇の日程が怪しくなってきた。お盆前の二日間、要するに、一泊二日しかとれなくなった。

神戸から出発して一泊二日で、兼六園、五箇山、白川郷、奥飛騨温泉、新穂高ロープウェイ、上高地を回る。気が付くと、有名観光地が満載の、バス会社が企画しそうな、弾丸ツアーが出来上がっていた。
題するなら『あこがれの奥飛騨温泉と上高地。世界遺産の五箇山・白川郷と兼六園をめぐる旅』というところだろう。


8月10日、朝7時ちょうど。大阪駅から特急サンダーバード3号に乗り込んだ。
今朝は5時起きだった。いつもの通勤時刻より、一時間も早い。参加者の面々も眠そうだ。金沢までの二時間半は、あっさりと睡眠タイムになった。

金沢駅でレンタカーを借り、市内を走ってまずは兼六園を目指す。
唯一、具体的な希望があったところだ。敬意を表して、最初に訪れることにした。もっとも、最初にここに行っておかないと、あとの行程が組めなかったのだが。

「兼六園」は、最初に書いたとおり、北陸を代表する観光地だ。極め付きの日本庭園で、見どころは多い。じっくり見れば数時間はかかるだろう。
だが、弾丸ツアーに、そんな時間的余裕はない。「兼六園」では、所要2時間で観光と昼食を予定している。
そこで、ガイド付きツアーに参加することにした。所要40分で、園内の有名どころを案内してくれる。

ガイドについてくれたのは、いかにもベテランという感じの女性だった。
「兼六園」のメインの入り口、桂坂から霞ケ池、徽軫灯籠、唐崎の松、雁行橋、曲水の杜若、根上松、辰巳用水、噴水、夕顔亭と園内を巡る。
庭園は多くの樹木に包まれた池泉回遊式であるが、金沢城に隣接する高台にあり市街を見晴らすこともできる。
宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望の六つを兼ね備える名園、という意味の「兼六園」、その名の通りだ。

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ガイドの女性は、夏空の下、汗をぬぐいながら案内をしてくれた。庭園に関する話だけでなく、加賀藩の歴史や、金沢の観光案内にも話題は及び、名所では写真撮影もしてくれて、ガイド料金は一人500円だった。申し訳ないくらいに、ありがたいツアーだった。

早めの昼食は、園内の噴水の前にある「兼六亭」で、名物の「じぶそば」を頂いた。
冷たいかけそばに、金沢の名物料理「治部煮」がのったものだ。
暑い中を歩いてきた後なので、あっさりとしたものが良かったが、見た目よりボリュームがあり、満腹になった。

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金沢の街を後にして、北陸自動車道、東海北陸自動車道を走ること約1時間で五箇山に着いた。
五箇山は白川郷と並ぶ、世界遺産登録の合掌造り集落がある山里だ。観光地として整備が進んでいる白川郷に比べると、素朴な趣を残しているという。
インターチェンジから5分ほど走り、菅沼集落の近くにある駐車場に車を停めた。高台にある駐車場から見下すと、5軒の合掌造りが見える。周囲は深い山に囲まれていて、たしかに鄙びた風情だ。

駐車場から集落まで、かなりの高低差がある。下るのはいいが、帰りの登りが辛いなぁと思っていたら、なんと集落までエレベーターが設置されていた。
田圃を囲むように合掌造りの家々が建つ集落は、観光客の姿も少なく、静かな雰囲気の中にあった。

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もっともそれぞれの家は、土産物屋だったり飲食店だったり資料館だったりと、しっかり観光客目当ての営業をしている。
狭い集落なので、ゆっくりと見て回っても30分ほどの滞在で十分だった。


五箇山から白川郷までは、東海北陸道で十数分の近さだった。
白川郷に来るのはこれで三回目になるが、同行メンバーが違うこともあって、定番のスポット巡りをすることになる。

まずは必見スポットの城山展望台だ。
白川郷荻町の合掌造り集落を見渡す格好の展望台で、訪れる人も多い。
来るたびに駐車場の面積と外国人の割合が増加していることを除けば、風景に大きな変化はなく、数年前に時間が引き戻されるように感じた。

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白川郷荻町一帯は一般車は通行自粛(という名の進入禁止)となっていて、町外れの駐車場に車を停めることになる。お盆休み前の平日だというのに駐車場は満車になっていて、さらに町外れの第二駐車場に回された。

朝からの晴天が、ここにきて雲行きが怪しくなっている。雨傘を携えて散策にくりだした。

土産物屋と飲食店の並ぶメインストリートを歩き、重要文化財の合掌造り民家である和田家を訪れた。
観光地然としてしまった白川郷の中で、和田家の周辺はぽっかりと抜け出したように山村の風情を残している。屋内は資料館になっていて、合掌造りの構造や暮らしぶりなどがよくわかるようになっている。とりあえずここに来ておけば十分というスポットだ。

和田家を出ると、心配していた雨が降り出した。
雨宿りを兼ねて土産を物色し、雨が上がった頃合いを見て、白川八幡神社に立ち寄った。
時刻は午後5時を回り、日も傾いてきた。
参拝を済ませると、社殿の背後の森からひぐらしの声が聞こえてきた。

思えば、定番のスポット巡りは、そのまま「聖地」巡礼のコースになっていた。


白川郷から東海北陸道、清見高山道路、県道89号線、国道158号線とひた走り、今夜の宿がある奥飛騨温泉郷の新穂高温泉を目指す。

フロントガラスに、ぽつぽつと雨粒が当たる。
天気予報では、今夜から明日にかけては、曇りときどき雨となっている。明日は新穂高ロープウェイと上高地の観光を予定しているが、雨はもちろん曇りでもその魅力は激減してしまう。

新平湯温泉から蒲田川沿いを上っていくと、北欧の山荘風の瀟洒な外観を持つ「穂高荘山のホテル」に着いた。
駐車場に車を停めると、傘をさしたホテルの従業員が出迎えてくれた。ありがたいことで、最近、こういう丁寧な接客が増えているような気がする。
とはいえ、小雨が本降りに変わっていて、これでは宿ご自慢の、北アルプスの眺望と蒲田川の彼方に槍ヶ岳を望む大露天風呂の眺望も台無しだろう。

(晴れていればこんな感じ)
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 ※画像は宿のHPからいただきました

重厚な雰囲気を漂わせるロビーに入ると、「こんばんわ~」と奇声が上がった。
白い筐体の小型ヒューマノイドロボットのPepper(ペッパー)だ。ASIMOのように歩き回ったりしないが、胸のあたりにある液晶パネルを操作してリクエストすると、体をクネクネさせたり、シュールな歌詞のオリジナル曲を歌ったりする。
遊び場がほとんどないホテルなので、子ども向けのサービスなのだろうが、いいオトナな同行の志にも妙にウケていた。

豪華な夕食を終えてお腹が満たされたところで、温泉に浸かろうと思う。
内湯もあるが、なんといっても前述の大露天風呂が目玉だ。すでに真っ暗だし雨模様だから眺望はないだろうが、とりあえず行ってみようということになった。

露天風呂は谷間を流れる蒲田川の河原にあり、ホテルからは小さなモノレールのケーブルカーで下っていく。昨年行った祖谷温泉のケーブルカーは、目もくらむような谷底に下っていくスリリングなものだったが、こちらは森の中を少し下るだけだった。

露天風呂は、いちばん大きな混浴風呂、女性専用、貸切の三つがあった。
時間帯と天候のおかげか他にお客さんはおらず、事実上の貸切状態だったので混浴風呂に入ることにした。思っていたよりも広くて開放的なお風呂で、晴れていればさぞや見事な星空が仰げただろうと思う。

お酒を飲まないので、Pepperをからかうくらいしかすることもない。
健康的に早寝早起きをして、翌朝も露天風呂に出かけた。
蒲田川の流れを望む景色の良い露天風呂だったが、雨雲が低く垂れ込めていて、期待していた槍ヶ岳の眺望はなかった。

【次週の後半に続きます】
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コメント
1376:こんばんは! by 山西 サキ on 2017/10/13 at 19:13:25 (コメント編集)

『あこがれの奥飛騨温泉と上高地。世界遺産の五箇山・白川郷と兼六園をめぐる旅』ですか?これを一泊二日で?
いやいやTOM-Fさん、これ弾丸どころじゃなくて弾道弾ですよ。かなりハードだと思うんですけれど。
あ、サキの体力を基準に考えるからでしょうか?
みなさん、体力あるなぁ。それにけっこう高速道路が完成しているから便利にはなっているんですね。
兼六園を含む金沢は行ってみたいと思っているんですが(あ、やっぱり名物食レポもある)、五箇山と白川郷もいいですね。合掌造りは見てみたいです。
五箇山の方が観光客が少なくて雰囲気を味わいやすいんでしょうか?サキは静かな方が好きなのでゆっくりならこっちの方でしょうか?
そして、白川郷、ご家族と一緒だったので聖地巡礼モードは封印されていたのかな?

そして素敵なホテルだなぁ。
先は自分の名前の影響もあって北アルプスがお気に入りなので、こういうホテル、喜びそうです。
ま、ペッパーはいいか。これくらいのA.Iではサキは喜びません。
温泉に料理、ハードスケジュールでもちゃんと楽しんでおられるご様子。

新穂高ロープウェイと上高地(やっぱりハード)、楽しみにしています。
どちらも行ってみたいところです。

1377: by TOM-Fさん on 2017/10/14 at 05:23:08 (コメント編集)

こんばんは。

夏休みっていうから一週間のコースかと思ったら、まさか一泊二日とは。兼六園に二時間はギリギリかなと思ったら、食事まで含まれた時間だし(笑)

サキさんもご指摘なさっていらっしゃいますが、私も聖地巡礼もーどはどうなったんだろうって思いましたよ。

もう二回もいらっしゃっているから、聖地巡礼はせずに通り過ぎても大丈夫だったのかしら。

世界遺産になると、たくさんの方が押しかけるので観光地としては色々と整備されるのでしょうが、鄙びた感じはなくなるのかもしれませんね。わらわらとした感じだったら、ながいはしなくなるかなある温泉でまったりの時間が多い方がいいのかもなあと想像しました。

そして、温泉にロボットがいる?
なんか不思議な世界だなあ。

温泉が貸切状態になるのはうらやましいですねぇ。

後半のレポートも楽しみにしていますね。


1378:>山西サキさん ありがとうございます by TOM-F@管理人 on 2017/10/15 at 13:50:56 (コメント編集)

>山西サキさん

はい、この行程で1泊2日です。実際かなりハードですけど、バスツアーだと、わりと普通に見かけますよ。
あ、弾道弾ツアー、上手い!

たしかに高速道路が整備されたおかげで、あんな山奥の秘境でも気軽に行けるようになりました。車なら、運転はしんどいですけど比較的楽に行けますので、機会があればチャレンジなさってみてくださいね。

金沢は兼六園以外にも、見どころは多いですよ。近江市場に行けば、海鮮も美味しいし。
合掌造りは、規模の大きさなら白川郷、雰囲気を重視するなら五箇山がおススメです。
聖地巡礼は、今回はさすがに(笑)でも結局そんな感じになっちゃったんですけどね。

ホテル、お天気だったら最高だったんですけどねぇ。曇りでもアウトですからね。運が良くないと、写真のようには見えません。
ペッパー、AIはたいしたことないんでしょうけど、シュールな歌詞の歌は一聴の価値ありですよ。

後半がどうなりますか……お楽しみに。

コメント、ありがとうございました。

1379:>八少女夕さん(たぶん) ありがとうございます by TOM-F@管理人 on 2017/10/15 at 13:52:00 (コメント編集)

>八少女夕さん(ですよね?)

もうね、日本の夏休みは1泊2日。長くても2泊3日なんですよ(きっぱり)
まあ、ウチくらいでしょうけどね(笑)
兼六園、ゆっくり見たら半日はいるかな。建物もけっこうあるし。でも駆け足ならあの時間でもなんとか……。

聖地巡礼は今回は封印です。でも、有名どころを巡ったら、結局は聖地巡礼になっちゃったんですけどね(笑)
白川郷は、もう完全な観光地です。のんびりと過ごすという場所ではないです。世界遺産=観光地という構図なので、これはいたしかなないですね。五箇山の方は、まだ少しはマシですけど。

温泉でのんびり……したいなぁ。結局、温泉の方も弾丸気味でして(笑)
夜の露天風呂は貸切状態で良かったですけどね。

後半もお楽しみに。

コメント、ありがとうございました。

1380:うん by 大海彩洋 on 2017/10/17 at 22:06:46 (コメント編集)

私もサキさん同様、え、これ1泊2日でと思ったのですが、よく考えたら、私も結構弾丸ツアーやってるわと(私は弾道弾ではなかった?)。
短い時間で最大の効果を上げる。これこそ日本人の旅行の醍醐味ですよね!(ということにしておこう。のんびりゆったり派の夕さんに呆れられそう^^;) いや、時間があればのんびりもしたいのですけれどね~

思えば私も京都に住んでいた学生の頃、夜中0時3分京都発の夜行の普通列車で金沢に遊びに行って、1日遊んで、泊まらずに(さすがに帰りは雷鳥で。あ、当時はサンダーバードじゃなかったんですよね)帰ってきたものだった……泊まるお金がなくて(;_;) 朝4時に金沢駅に着くので、5時から立ち食いソバ食べて、一番早く開園する(8時)兼六園に最初に行くのがコースでした。東京と新幹線で繋がっちゃって、なんとなく気持ちが向かなくなっちゃったなぁ。
加賀友禅の文様が好きで、よく流してるところとか見に行っていたのです。

なんかすごい駅になってからは行ってないんだけれど、うん、また行きたいなぁ~金沢。
それに、何年か前に白川郷に行ったとき、展望台には行かなかったんですよ。結構下で遊んじゃって。TOM-Fさんの旅行記を拝読して、次は行こう!と思いました。次、あるかなぁ? 
あ、でも確かに、白川郷って北陸からかなり近いですものね。このコースは結構スムーズに回れるパターンだったのかも。

そうそう、最初「涼しい温泉」というのを読んで、なんとなく「冷たい水の温泉」をイメージしてしまってました。それじゃ、温泉とは言わないか^^; ただのプールか川? でも低温の温泉はありますものね。でも、この場合は「涼しいところにある温泉」ってことですよね(実は、川?)。
TOM-Fさんは和歌山でも結構、温泉弾丸されてましたよね。今回はどんな温泉弾丸なのか。また後半も楽しみにしています。

1381:>大海彩洋さん ありがとうございます by TOM-F@管理人 on 2017/10/18 at 19:11:53 (コメント編集)

>大海彩洋さん

いやぁ、仰る通り、すごい弾丸ツアーですよ。まあ、旅行に関しては欲張りなので、どうしてもこういうことになっちゃうんですけどね(笑)
あと、休みが少なかったり、まとまって取れないと、しかたないですよね。
タイム・パフォーマンスは、日本人のレジャーでは大きな要素ですよね。ほんと、ゆっくりできればしたいけど(遠い目)

おっと、夜行日帰りですか。これはまた、ハードな。しかもマジ日帰りじゃないですか(驚)
あ~でも、私も学生時代には、北陸本線の夜行列車にずいぶんお世話になりましたねぇ。さすがに優等列車でしたけど(プチ自慢)
夜行明けで駅そばとか、ほんと、あの頃の鉄道旅行は風情がありましたよね(年齢がバレるw)

金沢はなぜかちょいちょい出かけているんですけど、たしかに俗化してきた感はありますね。友禅流しとかは、もう見れないかもしれませんし。でも、まだまだジャパニーズ・ビューティ、残っていますよ。

で、金沢から五箇山・白川郷そして奥飛騨は意外と近いです。車で二時間あれば、行けます。
冷泉、ありますね。温度25度未満は冷泉です。今回の「涼しい温泉」はそっちじゃなくて、気温が低いところにある温泉、です。せっかくなら、ゆっくりと浸かればいいんですけど、後半の記事でもわかりますが、弾丸です(笑)

コメント、ありがとうございました。

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