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魔法少女まどか☆マギカ

『魔法少女まどか☆マギカ』は、2011年1月から4月まで、深夜アニメとして放送された作品だ。全12話の短いシリーズだが、久しぶりに見ごたえのあるアニメだった。

  TVアニメーション「魔法少女まどか☆マギカ」公式サイト

 このアニメ、外見は可愛らしいキャラクターが登場する魔法少女ものというスタイルだが、深夜枠での放送ということからもわかるように、あくまでも大人の鑑賞を前提とした作品で、そのテーマや内容は極めてダークでシリアスなものだ。
「願い」をひとつ叶えてもらう事と引き換えに、「魔女」と戦う義務を負う「魔法少女」になった少女たちにふりかかる過酷な運命と、それを目の当たりにして希望と挫折そして苦悩を経験する14歳の少女、鹿目まどかを通して、人間の宿業や原罪ともいえる重厚なテーマを描いている。願望は、それがどんなものであれ、それを抱いた瞬間から、人間の持つ歪みによって、絶望と破滅に向かうことが運命づけられている。願望が絶望を生み、絶望が破滅と災いをもたらすのだとしたら、願望を持つこと自体が間違いなのではないか。突きつけられた重い命題に、まどかはどう向き合い、なにを決断するのか。
 秀逸だが陰々滅々たるストーリーを強力に牽引するシナリオと演出が、実に見事だった。それは一言で表すなら、計算されつくした意外性だ。こちらの先入観を利用したり、あるいは逆手に取ったりしながら、いい意味で期待を裏切り続け、結果としてまったく先が読めないシナリオは、最後まで目を離すことが出来なかった。
 意外といえば、まどかが、優れた素質を持ちながらも物語の終盤になるまで「魔法少女」にならないことも、驚きの演出だった。しかも、それ自体が大きな意味をもつ伏線であることが明らかにされたときには、それまでのストーリーがもうひとつの違う意味をもっていたことに気づいて、そのシナリオメイクの巧みさに感嘆したものだ(ちなみに第10話と最終話では、エンディングに主題歌が流れるのだが、そのときゾクゾクするほどの感動を覚えた。その意味は、見た人ならわかると思う)
 また、魔法少女と魔女の戦いというファンタジーであるにもかかわらず、その戦闘は銃火器や刀剣によるもので、敗北すれば死亡することもあるというリアルな設定や、魔法少女の死は、なにも敵に敗北することだけが原因ではないというダークな設定も、魔法少女たちが背負った悲劇性を印象付ける上手い演出だ。
 アニメーションの技巧という点においても、完成度が高かった。魔法少女の可愛らしいキャラデザインや通常世界を描く未来的で無機的でクリーンな表現と、魔女やその結界(異界)を描くサイケデリックで不気味で芸術的な表現の対比は、一瞬にして画面の質感そのものが変わるほどに鮮烈だ。そんな美術背景を含めて、圧縮された情報を突きつけられるような緻密な描写は、繰り返しの視聴を前提としたもので、流し見では到底全容を把握しきれない。梶浦由記を起用した音楽も、空間に響き渡るような深みと厚みがあり、シーンを印象深いものにすることに貢献している。
 まるで劇場用映画のように凝縮された作品であり、見終わったあとは、心地良い疲労感を覚えると同時に、言い知れない虚無感にも襲われた。この作品は、本年度ナンバーワンの呼び声が高いが、まさにその評価に値するとともに、アニメ史上に残るべき傑作だと思うのだ。

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