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君の名は。

新海誠監督の長編アニメーション、『君の名は。』を観てきた。

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素直に、いい映画だと思った。
映像のクオリティは圧倒的で、隅々にまで神経が行き届き、107分の上映時間のどの部分を切り取っても美しいシーンばかりだ。

そして、主人公・立花瀧の爽やかさ、ヒロイン・宮水三葉のかわいらしさたるや、もう見ていてため息が出るほどだった。
ちなみに、私がいちばん気に入ったシーンは、巫女の三葉が神楽を奉納するシーンだ。あれはじつにすばらしい、というか、わかってますねぇという感じだった。

そして、肝心のストーリーも、設定に雑な部分はあるものの、全体としてわかりやすく感動させるつくりになっている。
前半のほのぼのとした日常パートが、ある事実が判明したことを境にして、一転してシリアスでドラマティックな急展開を見せていく。それでいて、ラストは予定調和的に収束するので、安心して物語にひたっていられる。

 

アニメーション映画にあまり興味がない人でも、ああ面白かったなぁと思える作品に仕上がっていて、多くの観客に受け入れられる映画であることに間違いはない。
そんなわけで、『君の名は。』は公開後すでに一ヶ月半のロングラン上映になっているが、七週連続動員トップで総興行収入は145億円にのぼり、スタジオジブリの『風立ちぬ』を抜いて日本アニメ映画歴代5位にランクされる大ヒットになった。


だが。
だがしかし、なのである。
私はエンドロールを見ながら、こう思ってしまった。
――でもこれは、新海誠の映画じゃないな。

私は、新海誠のデビュー作『ほしのこえ』からずっと彼の映画を観つづけてきた、筋金入りのファンのつもりだ。
新海誠の持ち味は、ディテールにこだわりまくった圧倒的に繊細な映像美であり、せつなくてはかなくてけれど美しい物語だ。
その真骨頂はなんといっても、『秒速5センチメートル』だろう。

 

わかりやすい映画ではないし、観たあとに幸せな気持ちになるわけでもない。どちらかというと、もやもや感が後を引く類の作品だ。
『君の名は。』はラノベ(ライトノベル)的なわかりやすさを前面に打ち出した映画だが、『秒速5センチメートル』は、良きにつけ悪しきにつけ文学作品のようなとっつきにくさがある。
しかし、これこそが新海誠の映画だと、思ってしまうのである。
無論、これは私の極めて個人的かつ主観的な、どちらかというと偏見に基づいた感想である。それは、わかっている。

『君の名は。』の大ヒットで、新海誠は押しも押されもせぬメジャー監督になった。彼の過去の作品があらためて脚光を浴びて、評価されることもあるだろう。それはそれで、ファンとしては嬉しいことである。
ただ、これからの新海誠が、商業的な成功など度外視して、ほんとうに作りたい映画を作れるか。彼の次作こそが、ポスト宮崎駿の日本アニメ界を占う試金石になるような気がしてならない。
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コメント
1231: by つるけいこ on 2016/10/19 at 06:27:04 (コメント編集)

出来は申し分ないんだけど、ファンとしてはなんか違うなってこと、ありますよね。逆にそれほどいい出来でなくても、なぜだか好きな作品も……。
「君の名は。」は見ていませんが、その気持ちすごくよくわかるなあと思いました!

1232:Re: タイトルなし by TOM-F@管理人 on 2016/10/19 at 12:41:19 (コメント編集)

>つるけいこさん

そうそう、そうなんですよ。
映画とか小説なんかもそうですけど、商業的に成功した作品が、その作家のベストチョイスかというと微妙だってこと、あるんですよね。でも、ファンとしては、評価されて有名になるのは嬉しいし。芸術性と大衆化は、両立しないのかなぁ……。
あ、『君の名は。』は、ヒットしてしかるべき内容の映画でした。ただね、次の作品が心配なんですよね~。

コメント、ありがとうございました。

1233:渋谷まで行ったところで by 八少女 夕 on 2016/10/20 at 23:58:17 (コメント編集)

こんばんは。

この記事に触発されて、今日、渋谷で時間があったので入ろうとしたんですが。
5分遅かった。
そして、別の映画館でチケットを買おうとして、この国にはレディースデーなるものがあったような記憶がよみがえり帰ってきました(笑)近いうちにリベンジ致します。

1234:Re: 渋谷まで行ったところで by TOM-F@管理人 on 2016/10/21 at 20:44:00 (コメント編集)

>八少女夕さん

それは残念でしたね。映画館で観賞するのは、時間に合わせて行かないとダメっていうのが、面倒ですよね。
レディースデーは、たしか毎週月曜日だったような。毎月1日も割引ありますよ、たしか。それと、レイトショーも。
お時間のあるときに、ご観賞ください……って、東宝の回し者か、ワタシは(笑)

コメント、ありがとうございました。

1235:こんばんは~ by 山西 サキ on 2016/10/24 at 22:24:52 (コメント編集)

きっと良い映画なんだろうなぁ・・・と思っています。
フランクフルトまでの機内で原作(というか同時書き出し?)を読んだのですが、面白かったです。ただ、もう1歩インパクトが不足する感じを持ったのは、アニメーションの予告を見てしまったからかもしれません。
やはり新海さんはアニメーションの監督なんですから。
サキの勝手な思い込みなんでしょうが2人の思考が交互に描かれながら接近していく部分など、サキの実験作品を彷彿とさせるところもあって、きっとサキがもっともっと才能を持っていたらこういう風に描けたんだろうなぁ・・・と、すごく羨ましかったです。
これは見ておかなきゃ、と思いました。
DVDが出るのを待っても良いけれど・・・。

1236:Re: こんばんは~ by TOM-F@管理人 on 2016/10/28 at 00:08:03 (コメント編集)

>山西サキさん

返信がおそくなってすみません。
そうですね、「良作」と言っていいレベルに仕上がっていると思いますよ。今までの新海誠は、作画は素晴らしいけどストーリーがちょっとという感じはありましたが、この作品ではその部分がきっちりと対応されていて、良さがわかりやすかったと思います。
原作小説も売れているみたいですけど、今回の作品はビジュアルの破壊力がすごいので、文章に起こすのは難しいのではないかと思います。
DVDでじっくり観るというのもいいですが、「君の名は。」は劇場の大画面で楽しむ方が合っているような気がします。公開劇場も増えていますので、ぜひ(東宝の回し者w)

コメント、ありがとうございました。

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