【小説】 挿頭の花 -衣通姫伝説外伝- (19)
2023年09月20日 公開
『挿頭の花』 「人の章」第三話です。
クライマックスの第三話は長くなってしまいましたので、三回に分けて投稿することにしました。
伊穂襲撃を実行した住江ですが、なんと肝心の伊穂が不在。酔いつぶれていたはずの伊穂は、はたしてどこに行ったのか。襲撃は空振りに終わるのか。その顛末を描きます。
この襲撃事件、記紀の記述を読んでも、襲う方も襲われる方も、そして解決までの騒動も、でたらめというか行き当たりばったりというか無茶苦茶というか、とにかくお粗末の一言に尽きます。
そのドタバタ劇に、お付き合いくださいませ。

『挿頭の花 -衣通姫伝説外伝-』
伊穂の顔が恐怖にひきつった、まさにその時だった。
ひゅっと風を切る音がして、一本の矢が兵の胸に刺さった。兵が呻いて倒れると同時に、「だれも動くな!」という大声が、辺りを圧するように響いた。
人の章 第三話 承継 (前) 【https://ncode.syosetu.com/n3893ht/19】
※ 次話は令和5年10月4日(水)に投稿予定です。
参考資料

【創作雑記】 文章を書く人への問い
2023年09月13日 公開
今週は小説『挿頭の花』の投稿を予告していましたが、執筆が捗っていませんので、別の記事をアップすることにしました。申し訳ありません。
さて。
X(Twitter)で面白そうなネタを見つけました。
物書きさんへの問いかけなのですが、気分転換を兼ねてやってみました(質問には若干のアレンジを加えています)。

『文章を書く人への問い』
Q.書く文章のジャンルは?
A.作品のジャンルはとっちらかっていて、いろいろ書き散らしています。共通しているテーマは、美少女がろくでもない目に合うという話です(おい)。他にもなにかあったような気がしますが、まあいいです。内容は作者の自己満足に全振りで、読者さんに優しいものではないですね。
Q.どんな雰囲気の文章が得意ですか?
A.地味で落ち着いた、悪く言えばネクラな文体で、沈んだ雰囲気の文章が得意です。たまにノリの良さや派手さを書こうとすると、だいたいスベります。
Q.ストーリー重視の文章ですか、描写重視の文章ですか?
A.初期は描写重視でしたが、最近はストーリー重視になってきています。理想は、描写とストーリーが自然に融合している文章ですが、バランス調整が難しいです。簡潔だけど芳醇、と評されたいですね。
Q.理論的に文章を書けますか?
A.文章の理論や文法はあまり知らないので、雰囲気重視です。もしプロの編集者がチェックしたら、ておにはから修正されると思います。
Q.どういう文章を書く練習をしていますか?
A.読者に誤解なく伝わる文章を書くように心がけています。ミスリードをしかけるのが大好きなので、そこを読み間違えられたら目も当てられませんから。
Q.将来プロを目指す文章を書いていますか?
A.プロは目指していませんね。あくまでも趣味で、自分が楽しむために書いています。まあ、負け惜しみですけど。ただ、せっかくだから自費出版でもいいので書籍化して、欲しくもないだろう知人たちに配りたいです。
Q.普段どのくらい文章を書いていますか?
A.調子のいいときは、一日で数千文字。ダメなときは、ゼロ。ダメな日が、圧倒的に多いです。
Q.文章量をこなす書き方はできますか?
A.細かなことは気にせずに、あらすじ的に書きなぐって、ある程度の文書量を稼ぎ、そこから枝葉を広げていく手法ですかね。ただ、これをやると、執筆の後半に息切れするのが難点。
Q.今の文章力をどう自己分析していますか?
A.そこそこには書けてると思っていますが、語彙のバリエーションが貧弱なのが弱点かなぁ。他人様の作品を読んで、こんな言葉があるんだ、こんな表現があるんだ、と感心することが多いです。目指すべきレベルは、自分の書きたいことを読者に伝えられること、そして複数回の読書に耐えられること、です。もっと精進せねば。
以上です。
こうして回答をしてみると、自身の創作志向を振り返るきっかけにもなりますし、執筆スタイルを再確認する機会にもなりました。
で、連載ですが……来週にはなんとかしようと思っています。ラストまで、あと2話(4回)、頑張ります!
【小説】 挿頭の花 -衣通姫伝説外伝- (18)
2023年08月23日 公開
『挿頭の花』 「人の章」第二話の後半です。
あちこちで暗躍している我らが秋月くんですが、詰めが甘いというご意見を読者さまから頂いています。まあ、そうですね(笑)
それに比して、なかなかに切れ者で優秀な瑞葉の存在感が、大きくなってきました。彼の思惑と行動が、今後の展開の鍵になっていきます。

『挿頭の花 -衣通姫伝説外伝-』
なんだと、と唸ったあと、伊穂ははっとしたように瑞葉を見た。
「そなたまさか、わざと木花開耶を誘拐させ、そのうえで見殺しにしたのではあるまいな」
伊穂の問いに、瑞葉は否とも応とも答えず、曖昧な笑みを返した。
人の章 第二話 叛逆 (後) 【https://ncode.syosetu.com/n3893ht/18】
※ 次話は令和5年9月13日(水)に投稿予定です。
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【小説】 挿頭の花 -衣通姫伝説外伝- (17)
2023年08月09日 公開
『挿頭の花』 「人の章」第二話の前半です。
大鷦親分の跡目相続、盤石だと思われていましたが、なにやらきな臭いことになってきました。遺言によって、あたかも帝位が小娘ひとりに依拠しているかのような錯覚を与えてしまった。これは大鷦の大失敗でした。
そしていよいよ、記紀にも記された帝位争いの惨劇が、幕を開けます。

『挿頭の花 -衣通姫伝説外伝-』
「やはりこれ以上は待てぬか。それで、木花開耶の居場所はつかんでおるのだろうな?」
「八坂東院におられると、調べはついております。ご命令とあれば、今夜にも決行できるよう手筈は整えてございますが」
住江は躊躇なく頷いた。
「よかろう。……やれ」
人の章 第二話 叛逆 (前) 【https://ncode.syosetu.com/n3893ht/17】
※ 次話は令和5年8月23日(水)に投稿予定です。
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【小説】 挿頭の花 -衣通姫伝説外伝- (16)
2023年07月26日 公開
『挿頭の花』 「人の章」第一話の後半です。
大鷦の後の帝位継承に絡んで、それぞれに思惑が入り乱れてきました。ひとり正論で奮闘する瑞葉に対して、もうひとりの皇子である住江の思惑が、今回は明らかになります。
そして我らが秋月坊やも、こそこそと暗躍しているようです。
まあ、なんといいますか、どいつもこいつも、という感じです。
そして、裏のヒロインともいうべき「あの方」、別居嫁の再登場です。

『挿頭の花 -衣通姫伝説外伝-』
岩乃は、目を伏せるとゆっくりと首を横に振った。
「いまさらこの私が、貴方のお役にたてることなどないと思いますよ」
瑞葉は顔をあげて、いいえ、と詰め寄った。なにがなんでも、この人を味方につけなければならない。
人の章 第一話 蠢動 (後) 【https://ncode.syosetu.com/n3893ht/16】
※ 次話は令和5年8月9日(水)に投稿予定です。
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